NISSAN DELTAWING(フルスクラッチ)製作顛末記(1)


静岡ホビーショー、モデラーズクラブ合同展示に参加されたモデラーの皆様、おつかれさまでした。

さて、去年は年末のまとめにもあるように、中華なアレとか、ステルスなソレを未完成のまま静岡に持って行き、一部の人には受けたのに満足したものの、未完成故にちょっと心が痛んだのもまた事実。
そこで、今年こそ完成した持って行くよ!ということで今年はNISSAN DELTAWINGに挑戦。

そもそも、NISSAN DELTAWINGというのは・・・ご存じ無い方はwikipediaを見ていただくとして、とにかく既存のレーシングカーというか、自動車全般から見ても異様な形をしているのですよ。これが今年のル・マン24時間レースに実験車両とは言え参加するとなれば、これは作るしかないですよ。という訳で以下顛末記。



まずは、公開された写真などから図面を引きます。今回、三面図に近い写真が公開されましたが、パースが掛かっているのでそのままで使えません。そこは想像力で補いながら描いてゆきます(どのみち誰も見たことないから、カッコ良さ優先で)。

さてここで、手持ちの機材をフルに使って最短で作る算段をします。というのも、実際に手を動かし始めたのは連休中の5月3日だったからです(静岡ホビーショーまであと2週間とちょっと)。昨年、ローランドDGのMODELA(MDX-20)を入手していたのでこれを活用します。

また、スケールは1/43にします。自動車のレジンキットではメジャーなスケールであることと、そして2週間で完成させるためにある程度ディテールが省略できるためです。


ここで問題になったのがデータの作成。MODELAはデータさえあればさまざまな形を削りだすことができますが、そのデータが無いことにはどうしようもありません。私はいわゆる3次元CADのかっちりした形状のデータは作れますが、車のボディのような曲面のデータを作るのは出来ない(スキル的に)ので、次のような手を取りました。

先に作った三面図から、ボディを中心の胴体と左右の張り出しに分けて製作します。
中心の胴体は、側面が垂直に落ちる面になっているため、上面図から外形を削りだします。機械で削るため、左右対称が簡単に出るのがメリットです。

また、MODELAには3Dの切削用ソフトウェア(MODELA PLAYER/4)の他に、2.5次元切削用(3D Engrave)、2次元切削(Dr.Engrave)などのソフトウェアが付属しています。

今回のような、外形のみを切り出す際には2次元切削のDr.Engraveが使用できます。この場合、2次元の線画だけで良いので、先に描いた三面図から胴体の部分のみを抜出、DXF形式変換してDr.Engraveにインポートします。

胴体の最厚部は約15mmなので、材料は厚さ20mmのバルサを使用し、一番太い6mmのエンドミルで外形を彫ります。材料は必要な厚さより厚くして、エンドミルがステージまで到達しないようにします。データの準備や材料のセットに多少の時間はかかりますが、MODELAが削りだすには数分しかかかりません。


削り終わったらカッターで大まかに削り出して、側面形を三面図より転写し、カッターや180番の紙やすりで形を整えます。ここまでデータの変換から側面の削り出しまでに半日と掛かっていません。

仮に、すべて手作業で行っていたらおそらく1日でも終わらないと思いますので、かなりの時間短縮になり、ここまで出来たので全体もいける!という感じになってきました。